首の痛みとテニス肘の試験をまとめた2つの分析では、痛む所に弱いレーザーを当てた人のほうが、偽の装置などを使った人より痛みが軽くなりました。偽の装置は、本物と見分けがつかないように作った、比較のための装置です。どちらの分析も、使った光は、熱を生じない弱いレーザーです[Chow 2009][Bjordal 2008]。弱いレーザーを当てる方法は、レッドライトセラピーの論文では長く低出力レーザー療法と呼ばれてきました[Hamblin 2017]。

この記事に出てくる強さ・量・時間などの照射条件は試験のもので、機器の使い方の目安ではありません。

長く続く首の痛みは治療後も軽いままだった

メタ分析は、同じテーマの試験を集めて、結果を合わせて計算する論文です。2009年に出たメタ分析は、首の痛みにレーザーを当てた試験16件・820名を集めています。光は痛む所に当てています。比べた相手は、試験によって、偽の装置か、ほかの治療です[Chow 2009]。

痛みは、長さ 100 mm の線に、自分の痛みの位置を印で付けて測ります。左端が「痛みなし」、右端が「最も強い痛み」です。痛みの強さを測った11件では、光を当てた人の印が、比べた相手より 19.86 mm、「痛みなし」の側にありました。痛みがよくなった人の割合も、光を当てた人のほうが多くなりました。

著者らは、急な首の痛みでは治療の直後に、長く続く首の痛みでは治療が終わって22週まで、痛みが減るとしています。副作用は軽く、偽の装置を使った人と違いませんでした。

テニス肘は腱に直接当てた904 nm で軽くなった

テニス肘は、ひじの外側の、腱の付け根が痛む状態です。2008年に出たメタ分析は、テニス肘にレーザーを当てた試験13件・730名を集めています。比べた相手は、ほとんどが偽の装置です[Bjordal 2008]。

痛みが軽くなったのは、904 nm(nm は光の色を表す波長の単位)のレーザーを、痛む腱の付け根に直接当てた試験です[Bjordal 2008]。904 nm は、赤色光(600〜700 nm)より波長の長い近赤外光です[Hamblin 2017]。こうした試験では、光を当てた人の印が、偽の装置を使った人より 17.2 mm、「痛みなし」の側にありました。治療が終わって3〜8週の時点でも、軽いままでした[Bjordal 2008]。

腱の付け根に当てても、820・830・1064 nm のレーザーの試験では差が出ませんでした。著者らは、830 nm と 1064 nm で差が出なかった理由として、量や強さが多すぎたことなどを挙げ、量は多いほどよいとは限らないとしています。ツボ(鍼治療で使う体の決まった点)を狙った試験でも、差は出ませんでした。

痛み当てた所比べた相手痛みの印(100 mm の線)
首の痛み痛む所偽の装置か、ほかの治療19.86 mm「痛みなし」の側
テニス肘904 nm を腱の付け根に直接偽の装置17.2 mm「痛みなし」の側
テニス肘ツボ偽の装置差は出なかった

出典:[Chow 2009][Bjordal 2008]

904 nm を腱の付け根に直接当てた試験では、痛む腱の付け根の2〜6か所に点で、または 5 cm² の範囲に光を当てていました。治療の期間は、試験の真ん中の値で3週間でした。2件の試験では、運動やストレッチに光を加えると、回復が4週と8週早まりました。著者らは、光は運動の代わりではなく、運動に加えるものだとしています[Bjordal 2008]。


参考文献