赤色光や近赤外光を全身や頭に当てた試験が3つあります。どの試験でも、光を当てた人は、当てなかった人や偽の装置を使った人より、睡眠の質がよくなりました。睡眠の質は、寝つくまでの時間・眠った時間・夜中に目が覚めることなど7つの項目に本人が答える質問票で測っています。3つの試験とも同じ質問票で、合計は0〜21点、点が低いほど睡眠の質がよいという意味です[Zhao 2012][Mehdizadeh 2025][Guu 2025]。

この記事に出てくる強さ・量・時間などの照射条件は試験のもので、機器の使い方の目安ではありません。

誰にどう当てた試験かは、次の表のとおりです。表と本文の nm(ナノメートル)は、光の色を表す波長の単位です。

対象当て方比べた相手睡眠の質
重い不眠のない健康な女子バスケットボール選手20名全身に赤色光(658 nm)を毎晩30分、14日同じ装置の下に横になるだけの選手14日後、光を当てた選手のほうがよかった[Zhao 2012]
慢性の不眠がある大人30名額に近赤外光(810 nm)を1回10分、3日続けて偽の装置を使った人1週間後、光を当てた人のほうがよく、差は平均4.6点[Mehdizadeh 2025]
うつ病の外来患者48名頭に着ける装置を1日20分以上、8週偽の装置を使った人本物の装置を使った人のほうがよく、その差は12週目まで続いた[Guu 2025]

全身に赤色光を当てた選手はメラトニンも増えた

この試験の対象は、重い不眠のない健康な女子バスケットボール選手20名です。10名は、毎晩30分、あおむけに寝て全身に赤色光(658 nm)を当て、14日続けました。残りの10名も同じ装置の下に同じ姿勢で横になりましたが、光は出ていません[Zhao 2012]。

14日後の睡眠の質は、光を当てた選手のほうがよくなっていました。

メラトニンは、夜に増えて昼に減るホルモンで、体内時計の働きを表す目安とされています。朝8時に採った血液では、メラトニンの量が、光を当てた選手で 22.2 から 38.8 pg/mL に増えました。当てなかった選手は 21.7 から 23.8 pg/mL です。pg/mL は、血液1ミリリットルあたりの量を表す単位です。

睡眠の質がよくなった人ほど、メラトニンの量も増えていました。

不眠の人は近赤外光3回で眠りがよくなった

慢性の不眠がある大人30名のうち15名の額に、810 nm の光を1回10分、3日続けて当てました。残りの15名は偽の装置を使いました[Mehdizadeh 2025]。810 nm は、赤色光より波長の長い近赤外光です[Hamblin 2017]。

1週間後の睡眠の質は、光を当てた人のほうがよく、偽の装置を使った人との差は質問票で平均4.6点でした。日中の眠気も、光を当てた人のほうが少なくなりました。重い副作用は出ていません。著者らは、もっと大きな試験で、もっと長く経過を追う必要があるとしています[Mehdizadeh 2025]。

うつ病の人は使い終えても眠りのよさが続いた

うつ病の外来患者48名を2つに分け、半分は頭に着ける装置を、残りは偽の装置を、自分で1日20分以上、8週使いました。本物か偽物かは、使う人にも評価する人にも知らされていません。この装置は、論文では光バイオモジュレーション(赤色光や近赤外光の弱い光を当てる方法)として試されています。赤色光と近赤外光のどちらか、何 nm かは、この記事の出典にはありません[Guu 2025][Hamblin 2017]。

うつの症状は、どちらの人も始める前より軽くなり、差は出ませんでした。睡眠の質は、本物の装置を使った人だけ2週目からよくなり、偽の装置を使った人との差は12週目まで続きました。装置を使ったのは8週なので、使い終えたあとも、偽の装置を使った人よりよい状態が続いていました[Guu 2025]。

眠りがよくなる理由として挙げられていること

選手の試験の著者らは、メラトニンの量が増えたことが、眠りがよくなった理由の可能性があるとしています[Zhao 2012]。

頭に光を当てた人の試験17件を集めた論文は、別の考えを挙げています。頭に当てた光は、脳の細胞でエネルギーを作る働きと、脳の血の流れを高めます。論文は、これが眠りがよくなり日中の眠気が減る理由の可能性があるとしています[Gaggi 2025]。


参考文献