頭に近赤外光を当てた試験では、健康な人の注意と記憶の課題の成績が、偽の光を当てた人よりよくなりました[Barrett 2013][Hwang 2016]。うつ病では、頭に光を当てた試験で結果が分かれています。試験を集めて調べた論文も、頭に当てた試験全体では、偽の光との差は偶然のばらつきと区別できるほどではなかったとしています[Ji 2024]。

この記事に出てくる強さ・量・時間などの照射条件は試験のもので、機器の使い方の目安ではありません。うつ病は医療の領域の病気で、この記事は研究の報告です。

健康な人は注意と記憶の課題がよくなった

健康な40人の試験では、額にレーザーの光を当てた人と、偽の光を当てた人を比べました。光を当てた人は、合図にすばやく反応する注意の課題で反応が速くなり、見本と同じものを少しあとで選ぶ記憶の課題で正解が増えました[Barrett 2013]。

同じ研究グループの、健康な若い60人の試験では、1064 nm の近赤外光を額の2か所に合計8分当てると、注意と記憶の課題が偽の光よりよくなりました。nm(ナノメートル)は、光の色を表す波長の単位です。課題の伸びは、20分の激しい運動をした人と同じくらいでした[Hwang 2016]。

用量の考え方で詳しく扱う、量を比べた試験もあります。健康な高齢者88人に同じ強さの光を1倍と2倍の量で当てると、1倍の人のほうが記憶の課題の成績がよく、著者らは量を増やしてもよりよくなるとは限らないとしています[Lee 2024]。

うつ病の人の頭に当てた試験

うつ病については、頭に光を当てた試験で結果が分かれています。偽の装置の人よりうつの点数(うつの症状の重さを点数にしたもの)がよくなった試験もあれば、差が出なかった試験もあります[Cassano 2018][Iosifescu 2022]。こうした試験を集めて調べた論文(2024年)も、頭に当てた試験全体では、光を当てた人と偽の光の人の差は偶然のばらつきと区別できるほどではなかったとしています[Ji 2024]。

うつ病の人の試験の例を3つ、当て方と結果で並べると次のとおりです。

うつ病の人の試験当て方うつの点数
21人823 nm を1回20〜30分・週2回・8週偽の装置の人よりよくなった
49人830 nm を1回20分・週2回・6週偽の装置との差は出なかった
48人頭に着ける装置を自分で1日20分以上・8週偽の装置との差は出なかった

出典:上から[Cassano 2018][Iosifescu 2022][Guu 2025]

週2回・8週当てた試験の著者らは、人数が少ないので、もう一度確かめる試験が要るとしています[Cassano 2018]。試験を集めて調べた論文の著者らは、試験が少なく、最適な当て方はまだ決まっていないとしています[Ji 2024]。


参考文献