赤色光の研究は、1967年のマウスの毛の実験から始まり、マウスの傷にも進みました[Chung 2012][Hamblin 2017]。人の傷では、結果が分かれています[Chung 2012][Son 2025]。一方、薄毛の人の試験では、偽の装置を使った人より髪が増えました[Liu 2019]。
この記事に出てくる強さ・量・時間などの照射条件は試験のもので、機器の使い方の目安ではありません。
始まりは赤色光のレーザーだった
1967年、ハンガリーの大学の研究者エンドレ・メスターは、毛を剃ったマウスの背中にレーザー光を当てると、剃った毛が早く生えそろうことに気づきました。メスターは続けて、ヘリウムネオンレーザーでマウスの傷の回復が促されることを示しました[Chung 2012]。
この分野で最初に使われた機器は、ルビーレーザーとヘリウムネオンレーザーです。nm(ナノメートル)は光の色を表す波長の単位で、600〜700 nm が赤色光、770〜1200 nm が近赤外光です。2つのレーザーが出すのは 694 nm と 633 nm で、どちらも赤色光です[Hamblin 2017]。その後、光源は LED(発光ダイオード)などにも広がり、いまは赤色光と近赤外光の多くの波長が使われています[Chung 2012]。
傷は試験によって結果が分かれた
2012年に出た論文によると、人の傷の結果は分かれていました。メスターとは別のグループから、3人の患者でヘリウムネオンレーザーが傷の回復を助けたという報告があります。一方、足の潰瘍の患者で、レーザーを当てた人と偽の装置を使った人を比べた試験では、差が出ませんでした。
メタ分析は、同じテーマの試験を集めて、結果を合わせて計算する論文です。2025年の論文は、光の試験のメタ分析を、病気や症状ごとに集めたものです。その中に、糖尿病の人の足にできる潰瘍(皮膚が深くえぐれた傷)に、400〜904 nm の光を当てた試験のメタ分析があります。結果は、赤色光のほか、それより波長の短い光と近赤外光もまとめたものです[Son 2025]。
光を当てた人と当てなかった人で、傷が完全にふさがった人の割合と、ふさがるまでの時間は変わりませんでした。傷の面積は、光を当てた人のほうが小さくなりました。
| 測ったもの | 光を当てた人(当てなかった人と比べて) |
|---|---|
| 傷が完全にふさがった人の割合 | 変わらなかった |
| ふさがるまでの時間 | 変わらなかった |
| 傷の面積 | 小さくなった |
出典:[Son 2025]
著者らは、面積の差は大きく見積もられている可能性があり、裏づけは限られるとしています。
薄毛の試験では偽の装置の人より髪が増えた
2019年のメタ分析は、薄毛(男性型・女性型脱毛症)の大人に、赤色光や近赤外光を出す弱いレーザーを当てた11件の試験をまとめています[Liu 2019]。11件は、1回8〜30分、16〜26週当てていました[Son 2025]。偽の装置を使った人より、光を当てた人のほうが、髪の密度(一定の面積にどれだけ毛が生えているか)が高くなりました[Liu 2019]。
参考文献
- Chung et al. The Nuts and Bolts of Low-level Laser (Light) Therapy. Ann Biomed Eng. 2012;40(2):516-533. DOI: 10.1007/s10439-011-0454-7. PMID: 22045511
- Hamblin MR. Mechanisms and applications of the anti-inflammatory effects of photobiomodulation. AIMS Biophys. 2017;4(3):337-361. DOI: 10.3934/biophy.2017.3.337
- Liu KH, Liu D, Chen YT, Chin SY. Comparative effectiveness of low-level laser therapy for adult androgenic alopecia: a system review and meta-analysis of randomized controlled trials. Lasers in Medical Science. 2019;34(6):1063-1069. DOI: 10.1007/s10103-019-02723-6. PMID: 30706177
- Son Y, et al. Effects of photobiomodulation on multiple health outcomes: an umbrella review of randomized clinical trials. Systematic Reviews. 2025;14:160. DOI: 10.1186/s13643-025-02902-3