レッドライトセラピー(赤色光療法)は、赤色から近赤外の波長の光を体に当てる方法です。英語では Red Light Therapy、学術的には Photobiomodulation(PBM、光生体調節)と呼ばれます。この呼び名の移り変わりは研究の始まりで扱っています。この記事では、光を当てたときに体の中で何が起きるのかを、これまでに報告されている研究にそって説明します。
なぜ「赤」と「近赤外」なのか
光には波長があり、色のちがいはこの波長のちがいです。単位はナノメートル(nm、1ミリの100万分の1)で表します。研究でよく使われるのは、目に見える赤い光ならおよそ630〜660 nm、その先の目には見えない近赤外光なら800〜850 nm あたりです。
この帯域が注目されるのは、皮膚を通り抜けて組織の奥まで届きやすく、しかも細胞の中の特定の分子に吸収されやすいからです。波長が短い青い光は表面近くで止まり、波長が長すぎると、今度は熱に変わってしまいます。赤〜近赤外は、そのあいだの「届いて、吸収される」帯域にあたります。
光を受け取るのはミトコンドリア
細胞の中には、エネルギーを作り出すミトコンドリアという小さな器官があります。細胞が動くためのエネルギー通貨、ATP(アデノシン三リン酸)を生み出す場所です。
Avci らは2013年の総説で、皮膚の細胞に当たった赤色光や近赤外光の光子(光の粒)が、ミトコンドリアの中の色素分子に吸収されると説明しています。吸収されたあとには、電子の受け渡し、ATP の産生、一酸化窒素(NO)の放出、血流の変化といった一連の反応が続くとまとめています[Avci 2013]。
光そのものが直接体を「治す」わけではありません。まず細胞の中のエネルギー工場が光を受け取り、そこから反応が連鎖的に広がっていきます。これが、いま説明されているしくみです。吸収されたあとに続く変化を実験レベルで見た話は、光が細胞で起こす3つの変化にまとめています。
「当てれば当てるほど効く」わけではない
光の量には適した範囲があります。レッドライトセラピーの研究を読むときに、ここは大事なところです。弱すぎれば反応が起きにくく、強すぎたり長すぎたりすると、かえって効果が頭打ちになったり逆転したりすると報告されています。この「ちょうどよい量がある」という考え方は、用量の考え方で詳しく取り上げます。
この記事のまとめ
- レッドライトセラピーは、赤〜近赤外(およそ630〜850 nm)の光を体に当てる方法です。
- この帯域は組織に届きやすく、細胞の中にあるミトコンドリアの色素分子に吸収されやすい光です。
- 光が吸収されると、ATP の産生や血流の変化といった反応が続くと報告されています[Avci 2013]。
- 光の量には適した範囲があり、多ければよいというものではありません。
参考文献
- Avci P, et al. Low-level laser (light) therapy (LLLT) in skin: stimulating, healing, restoring. Semin Cutan Med Surg. 2013;32(1):41-52. PMID: 24049929