レッドライトセラピー(赤色光療法)は、赤色から近赤外の波長の光を体に当てる方法です。英語では Red Light Therapy、学術的には Photobiomodulation(PBM、光生体調節)と呼ばれます。この呼び名の移り変わりは研究の始まりで扱っています。この記事では、光を当てたときに体の中で何が起きるのかを、これまでに報告されている研究にそって説明します。

なぜ「赤」と「近赤外」なのか

光には波長があり、色のちがいはこの波長のちがいです。単位はナノメートル(nm、1ミリの100万分の1)で表します。研究でよく使われるのは、目に見える赤い光ならおよそ630〜660 nm、その先の目には見えない近赤外光なら800〜850 nm あたりです。

この帯域が注目されるのは、皮膚を通り抜けて組織の奥まで届きやすく、しかも細胞の中の特定の分子に吸収されやすいからです。波長が短い青い光は表面近くで止まり、波長が長すぎると、今度は熱に変わってしまいます。赤〜近赤外は、そのあいだの「届いて、吸収される」帯域にあたります。

波長ごとに肌へ届く深さの模式図。青色光(400〜470 nm)はおよそ1 mm で主に表皮、黄色光(570〜590 nm)は真皮に達し、赤色光(630〜760 nm)のうち630〜700 nm は可視光のなかで最も深く真皮全体に到達できるとされる。近赤外光(760〜1200 nm)は具体的な深さの記載はないが「さらに深く入る」とされる。
これは模式図です。層の厚みや矢印の長さは実際の縮尺ではありません。波長帯の区切りは文献ごとに異なります。届く深さの話であって、届いたから効く、という話ではありません。出典つきの説明(Guo 2025・Avci 2013 の整理)は光が肌にはたらくしくみにあります。

光を受け取るのはミトコンドリア

細胞の中には、エネルギーを作り出すミトコンドリアという小さな器官があります。細胞が動くためのエネルギー通貨、ATP(アデノシン三リン酸)を生み出す場所です。

Avci らは2013年の総説で、皮膚の細胞に当たった赤色光や近赤外光の光子(光の粒)が、ミトコンドリアの中の色素分子に吸収されると説明しています。吸収されたあとには、電子の受け渡し、ATP の産生、一酸化窒素(NO)の放出、血流の変化といった一連の反応が続くとまとめています[Avci 2013]。

光そのものが直接体を「治す」わけではありません。まず細胞の中のエネルギー工場が光を受け取り、そこから反応が連鎖的に広がっていきます。これが、いま説明されているしくみです。吸収されたあとに続く変化を実験レベルで見た話は、光が細胞で起こす3つの変化にまとめています。

「当てれば当てるほど効く」わけではない

光の量には適した範囲があります。レッドライトセラピーの研究を読むときに、ここは大事なところです。弱すぎれば反応が起きにくく、強すぎたり長すぎたりすると、かえって効果が頭打ちになったり逆転したりすると報告されています。この「ちょうどよい量がある」という考え方は、用量の考え方で詳しく取り上げます。

この記事のまとめ


参考文献