赤色光は波長 600〜700 nm、近赤外光は 770〜1200 nm の光です(nm はナノメートル。光の色を表す波長の単位)[Hamblin 2017]。
近赤外光は、赤色光より奥まで進みやすい光です。亡くなった人の頭で光を測った研究(8体)では、脳の中で、近赤外光の 808 nm が赤色光の 660 nm より奥まで進みやすい結果でした[Tedford 2015]。肌の色ごとの測定を集めた論文(12本)では、肌を最もよく通ったのは 940 nm を超える近赤外光で、色の濃い肌は赤色光を特に吸収しやすい結果でした[Setchfield 2024]。
それでも、全身用のランプで肌に当てた試験(30回)では、赤色光に近赤外光まで含む光を足しても、しわなどの結果に差は出ませんでした[Wunsch 2014]。
この記事に出てくる強さ・量・時間などの照射条件は試験のもので、機器の使い方の目安ではありません。
3つの研究の中身は、次の表のとおりです。
| 亡くなった人の頭で光を測った研究(8体)[Tedford 2015] | 肌の色ごとの測定を集めた論文(12本)[Setchfield 2024] | 全身用のランプで肌に当てた試験(30回)[Wunsch 2014] | |
|---|---|---|---|
| 対象 | 保存の処理をしていない頭8体 | 肌の色を書いていた測定の論文12本 | 27〜79歳の人(最後まで参加した128名) |
| 比べた光 | 660・808・940 nm | 400〜1000 nm | 赤色光のランプ(611〜650 nm)と波長の範囲が広いランプ(570〜850 nm) |
| 測ったもの | 光が脳の中まで届くか、脳の中での光の進みやすさ | 肌が光を吸収する度合い、光が肌を通る量 | しわ・肌のコラーゲンの密度・肌の表面の粗さ・本人の感じ方 |
| 結果 | 808 nm が最も奥まで進みやすかった | 色の濃い肌は赤色光を特に吸収しやすい。どの肌の色でも 940 nm を超える光が最もよく通る | どちらのランプでも4つともよくなり、2つのランプの間に差は出なかった |
近赤外光は赤色光より奥まで進む
亡くなった人の頭で光を測った研究(8体)は、光を当てたあとの体の変化ではなく、光が頭の中をどう進むかを測りました。頭の外から 808 nm の光を当てると、光は頭皮・頭蓋骨・脳を包む膜を通って、脳の中まで届きました[Tedford 2015]。
次に、脳の中で 660・808・940 nm の3つの光を比べました。光が組織のどこまで入るかは、組織に吸い取られること(吸収)と、あちこちに向きを変えること(散らばり)で決まります。この2つが少ないほど、光は奥まで進みます[Hamblin 2017]。3つのうち、吸収も散らばりも最も少なかったのは 808 nm でした[Tedford 2015]。
著者らは、808 nm の光は脳などの組織への届き方が優れていた、と結論しています。ただ、亡くなった人の頭は、生きている人の状態をすべて表すわけではない、とも書いています。
色の濃い肌は赤色光を特に吸収しやすい
肌の色ごとの測定を集めた論文(12本)は、肌が光をどれだけ吸収し、どこまで通すかを肌の色ごとに測った研究を集め、計算し直したものです[Setchfield 2024]。
測った範囲(400〜1000 nm)では、色の濃い肌は、薄い肌より光を吸収しやすい結果でした。その差がいちばん大きいのは赤色光のあたり(640 nm)で、近赤外光になると差は小さくなり始めます。
どの肌の色でも、肌を最もよく通るのは 940 nm を超える光でした。波長が長くなるほど、肌の色による違いは縮まる可能性がある、と著者らは書いています。ただ、1000 nm を超える光はデータがわずかで、さらに研究が要るとしています。
赤色光のランプと近赤外光も出すランプを肌で比べた
全身用のランプで肌に当てた試験(30回)は、ドイツで行われ、体の広い範囲に当てるランプを2種類比べました。1つは赤色光(611〜650 nm)のランプです。もう1つは、波長の範囲が広いランプ(570〜850 nm。近赤外光まで含む)です。赤色光の部分の量は、どちらのランプも同じにそろえてあり、波長の範囲が広いランプは、そのぶん光全体の量が多くなります[Wunsch 2014]。
27〜79歳の人が、どちらかのランプで週2回・計30回、光を当てました。光を当てない人も、比べる相手として置きました。測ったのは、しわ・コラーゲンの密度・肌の表面の粗さ・本人の感じ方の4つです。コラーゲンの密度は、真皮(肌の奥の層)でコラーゲンの繊維がどれだけ密に詰まっているかです。
どちらのランプでも、30回のあとは4つとも始める前よりよくなり、2つのランプの間に差は出ませんでした。光を当てなかった人では、しわと肌の表面の粗さが悪くなりました。著者らは、波長の範囲が広いランプの光は、赤色光のランプの光に比べて優れた点を示さなかった、と結論しています。
参考文献
- Hamblin MR. Mechanisms and applications of the anti-inflammatory effects of photobiomodulation. AIMS Biophys. 2017;4(3):337-361. DOI: 10.3934/biophy.2017.3.337
- Tedford CE, DeLapp S, Jacques S, Anders J. Quantitative analysis of transcranial and intraparenchymal light penetration in human cadaver brain tissue. Lasers Surg Med. 2015;47(4):312-322. DOI: 10.1002/lsm.22343
- Setchfield K, Gorman A, Simpson AHRW, Somekh MG, Wright AJ. Effect of Skin Color on Optical Properties and the Implications for Medical Optical Technologies: A Review. J Biomed Opt. 2024;29(1):010901. DOI: 10.1117/1.JBO.29.1.010901
- Wunsch A, Matuschka K. A controlled trial to determine the efficacy of red and near-infrared light treatment in patient satisfaction, reduction of fine lines, wrinkles, skin roughness, and intradermal collagen density increase. Photomed Laser Surg. 2014;32(2):93-100. DOI: 10.1089/pho.2013.3616