レッドライトセラピー(赤色光療法)が運動の分野で調べられてきたもうひとつのテーマが、筋疲労とパフォーマンスです。臨床試験とメタ分析が何を測り、どこまでを報告しているのかをたどります。運動の「前」か「後」かというタイミングの整理は光と運動——赤色光は「いつ」当てると研究されてきたかにあります。

何が「パフォーマンス」として測られるか

Vanin らは2018年のメタ分析で、疲労困憊までの時間、反復回数、等尺性ピークトルク(関節を動かさずに力を入れたときの強さ)、血中乳酸レベルの4つを統合しました[Vanin 2018]。Ferraresi らが2016年にまとめた総説が扱ったのは、疲労、反復回数、トルク、筋損傷の指標、遅発性筋肉痛の5領域です[Ferraresi 2016]。共通の物差しがあるわけではなく、どの指標を見るかで報告の中身が変わります。

肩と脚——2つの臨床試験

Crow らは2024年、健常成人20名を対象に、肩の外旋筋を使う試験を報告しました[Crow 2024]。近赤外レーザー(810/980 nm、nm はナノメートル)で 10 J/cm² を運動の前に当てる条件と、偽の装置(シャム)を当てる条件があり、同じ人が日を変えて両方を受けます。どちらの条件かは伏せられました。運動は内外旋を21回、これを12セット。3ブロックに分けたうち、差が報告されたのは最後のブロック(セット9〜12)でした。この区間では、全てのパフォーマンス指標がシャムより 6.2% から 10% 大きかった(P < .02 から P < .001)と Crow らは報告しています。

Ferraresi らが2011年に報告したのは、より長い期間の試験です[Ferraresi 2011]。健常男性36名を、トレーニング+光・トレーニングのみ・対照の3群に分けます。前の2群は12週連続で、最大重量の80%の負荷でレッグプレスを続けました。トレーニング+光の群だけが、各セッションが終わった直後に 808 nm の赤外線レーザー(総エネルギー 50.4 J)を大腿四頭筋に当てられました。12週後の最大重量の伸びは、トレーニング+光が55%、トレーニングのみが26%(P=0.033)、対照が0.27%(P<0.001)でした。ただし太ももの周径の増加は 4.52% と 2.75% で、有意な差はありません(P=0.775)。指標によって、統計的な差が出るかどうかは分かれています。

39試験をまとめると

Vanin らは健常者を対象とした39試験(合計861名)を集め、うち28試験でプラセボと比較するメタ分析を行いました[Vanin 2018]。4つの指標を統合した結論の書き方は慎重です。「とても低い〜中等度のエビデンス品質で、光を当てた側に有利ないくつかの効果」というまとめでした。方法論的な質の不足、サンプルサイズの小ささ、条件のばらつきを挙げ、さらなる調査が必要だとも書いています。

一方で、好ましい方向の結果が報告された条件も示されました。波長655〜950 nm、光の量は小さい筋群で20〜60 J、大きい筋群で60〜300 J、最大出力200 mW/ダイオードという範囲です。低出力レーザー療法(LLLT)でも LED でも、その組み合わせでも報告がありました。これらは論文に記載された研究条件であって、使い方を指示するものではありません。数字の読み方は用量の考え方にあります。

総説が挙げる限界

Ferraresi らの2016年の総説は、46の臨床研究・1,045名分をまとめたものです[Ferraresi 2016]。波長は主に630〜950 nm です。効果が報告された条件として挙がる光の量は、小さい筋群で20〜80 J、大きい筋群で56〜315 J、全身を対象としたプロトコルで360〜510 J です。この範囲はメタ分析と総説で少しずつ異なり、文献によって一定ではありません。

同時に、限界もはっきり書かれています。ひとつは、量が多すぎると効果が消える二相性用量反応という性質です。もうひとつは試験ごとの条件の不揃いで、研究の質を評価する枠組みを使った厳密なメタ分析が今後も必要だとしています。運動後の筋肉痛の側から見た研究は赤色光と遅発性筋肉痛——運動の翌日に来る痛みの研究にまとめています。

この記事のまとめ


参考文献