レッドライトセラピー(赤色光療法)が運動の分野で調べられてきたテーマのひとつに、激しい運動のあとで遅れて出てくる筋肉痛があります。慣れない運動をした翌日や翌々日に、筋肉が固くなって動かしにくくなり、押すと痛む状態です。研究では遅発性筋肉痛(DOMS)と呼ばれます。この痛みについて、研究が何を測り、どんな数値を報告してきたのか、そしてどこに限界があるのかをまとめます。運動の「前」に当てるか「後」に当てるかというタイミングの話は光と運動——赤色光は「いつ」当てると研究されてきたかにあります。

14試験を集めたメタ分析(Tsou ら 2025)

Tsou らは2025年、遅発性筋肉痛を起こしたあとに光を当てた対照試験を集め、システマティックレビューとメタ分析を報告しました[Tsou 2025]。PubMed と EMBASE の検索で336件が集まり、そのうち組み入れ基準を満たしたのは14試験でした。十分な定量データがあったのは4試験でした。使われた波長は660〜950 nm(ナノメートル)、光を当てた部位は筋肉あたり1〜6か所と幅があります。

測ったのは、痛みの強さと筋力です。痛みスコア(VAS。自分が感じる痛みの強さを線の上で示す方法)は、運動から72時間後で効果量 -0.55、96時間後で -0.56 でした。どちらも統計的に有意な減少で、中等度の効果にあたるとされます。筋力の効果量は、24時間後で 0.97、48時間後で 0.99 と大きい値でした。なお、早い時点(24・48時間後)の痛みについては、この抄録の範囲では報告されていません。著者らは「DOMS 管理のための有効な介入である可能性がある」とまとめています。ただ、数値を統合できたのは4試験だけです。この数値の読み方には、幅が残ります。

同じ運動分野でも、測っているものは違う

運動の分野の試験といっても、測っている中身はそれぞれ違います。

Vieira らが2014年に報告したのは、健常な若年男性7名を対象とした二重盲検クロスオーバーのプラセボ対照試験です[Vieira 2014]。膝の屈伸を20回、3セット行い、各セットの間と最終セットの後に、808 nm のレーザー(100 mW、4 J)またはプラセボを大腿四頭筋に当てました。その結果、反復回数が52%増えた(p=0.002)と報告されています。

Baroni らが2015年に報告した試験では、健常男性30名を対照・トレーニングのみ・トレーニング+光の3群に分けました[Baroni 2015]。後の2群は8週間、膝伸展の遠心性トレーニング(重りをゆっくり下ろす方向で力を出す運動)を続けます。トレーニング+光の群だけは、各セッションの前に 810 nm のレーザー(200 mW、総量240 J)を当てられました。筋厚の合計は +15.4% 対 +9.4%、関節を動かさずに力を入れたときのトルクは +20.5% 対 +13.7%、下ろす方向のトルクは +32.2% 対 +20.0% でした。いずれも光を併用した群が有意に大きく、対照群は変化がなかったとされます。著者らは「改善するように見える」と結論しています。

この2つの試験が測ったのは反復回数・筋厚・トルクです。痛みそのものは測っていません。

読むときに残る限界

試験ごとの条件のばらつきは、いまも残っています。Tsou らのメタ分析でも、波長と当てる部位には幅がありました。統合できた試験は4つで、Vieira らの試験は7名という小さな規模です。

装置もそろっていません。ここで挙げた2つの試験が使ったのは低出力レーザー療法(LLLT)の装置で、家庭用の LED 装置とは光の出方が違います。波長の 808 nm と 810 nm は、赤色光より長い近赤外光にあたります。光の量も、1回あたり 4 J の試験から1セッション合計 240 J の試験まで大きく違います。単位の取り方そのものも試験によってばらばらです。数字の読み方は用量の考え方、筋疲労や反復回数の側から見た研究は赤色光と筋疲労——パフォーマンス指標で測られてきたことにあります。

この記事のまとめ


参考文献