肌の老化には、年齢とともに進む変化と、紫外線を浴び続けて進む変化があります。後のほうが光老化(ひかりろうか)です。光老化では、しわができ、弾力が落ち、色素が沈着し、皮膚が厚くなります。赤色光でこの変化を軽くできるかについて、この記事の出典で分かっているのは2つです。

マウスでは、紫外線を当てる前に630 nm(nm は波長の単位)の赤色光を当てておくと、紫外線だけを当てたマウスより皮膚の変化が軽く、何もしなかったマウスに近い状態でした。人では、660 nm の LED を紫外線の前に当てて赤みが減った報告を、皮膚の総説(これまでの研究を集めてまとめた論文)が挙げています。

マウスで、紫外線の前に赤色光を当てた実験

ここで扱う報告は1つです。韓国の研究グループが2024年に、毛のないマウスを4つに分けました[Cho 2024]。何もしないマウス、紫外線だけを当てるマウス、赤色光だけを当てるマウス、赤色光を当ててから紫外線も当てるマウスです。赤色光は630 nm の LED を1回30分、1日2回、5日間当てました。紫外線は、日焼けを起こす帯域の UVB を1日1回、3日間当てました。調べたのは、皮膚の切片です。

紫外線だけを当てたマウスは、表皮(皮膚のいちばん外側の層)が厚くなり、炎症(傷んだところが赤く腫れる反応)に関わる細胞が増えていました。コラーゲン線維は壊れて並びが乱れ、弾性線維(肌を伸び縮みさせる繊維)は減っていました。この表皮の肥厚と真皮(表皮の下の層)の傷みを、著者らは光老化に典型的な変化だとしています。赤色光を先に当てたマウスでは、表皮の厚さと炎症に関わる細胞が紫外線だけのマウスより少なく、コラーゲン線維の形成が見られ、弾性線維の量は何もしなかったマウスと同じくらいでした。

人で、紫外線の前に LED を当てた報告

ここで扱う出典は1つ、2013年の皮膚の総説です[Avci 2013]。その「紫外線からの保護」の節が、660 nm の LED を紫外線の前に当てた人の報告を挙げています。健康な3名で、日焼け止めの SPF(紫外線を防ぐ強さの目安)を決める方法に似た方法で調べ、UVB による赤みが減りました。続けて、肌の白い人と、日光で発疹が出る病気の人で調べました。人数は総説にありません。紫外線の前に LED を当てると、UVB による赤みが LED の量に応じて減り、炎症のあとに残る色素の沈着も減った、と総説は書いています。

報告条件結果
マウスの実験[Cho 2024]630 nm の LED を1回30分・1日2回・5日間、そのあと紫外線を1日1回・3日間表皮の厚さと炎症に関わる細胞が紫外線だけより少なく、弾性線維は何もしなかったマウスと同じくらい
人、紫外線の前に LED(総説[Avci 2013]が挙げる報告)660 nm の LED を紫外線の前にUVB による赤みが LED の量に応じて減った

著者の結論

マウスの実験の著者らは、赤色光を先に当てておくことで、光老化に典型的な皮膚の肥厚と真皮の傷みが防がれ、コラーゲンと弾性線維の密度が保たれた、と結論しています。そのうえで、紫外線による皮膚のダメージへの対処として機能する可能性がある、としています。

総説の著者らは、この報告を含む多くの研究から、赤色光と、赤色光より波長の長い近赤外光は、紫外線によるダメージを予防としても治療としても減らすことができる、とまとめています。


参考文献